政令の要綱案


給与所得者等再生における、法2413項の「政令の要綱案」の説明

(可処分所得額算出にあたり控除すべき「1年分の費用」について)

 

 平成13119日に、法務省民事局参事官室から、法2413項の政令の要綱案が発表されたので、モデルケースを想定して、給与所得者等再生の場合の再生計画案の立案に際して算出すべき可処分所得を試算せてみた(政令が定められた場合に一部変更があり得る)。

 

[モデルケース]

東京23区(特別区)在住で賃貸マンション(月額家賃10万円)に同居する標準3人世帯(妻子は被扶養者)

(1)  A 33歳、サラリーマン、手取り年収350万円、負債合計700万円

(2)  妻 29歳、パート、手取り年収50万円

(3)  子 4

第1.  Aさんの1年分の費用

上記標準3人世帯のモデルケースの場合の「1年分の費用」は次のとおりである。

 

                              (金額単位:万円)

 

夫(33歳)

妻(29歳)

子(4歳)

@個人別生活費の額

49.9

(「別表第1」の「第一区」→「別表第2の1」の「20歳以上40歳未満」の欄)

49.9

(「別表第1」の「第1区」→「別表第2の1」の「20以上40歳未満」の欄)

(「別表第1」の「第1区」→「別表第2の1」の「3歳以上5歳未満」の欄)

A世帯別生活費の額

64.7

(「別表第31」の「3人」の欄)

 

 

B冬季特別生活費の額

2.4

(「別表第4の1」の「3人」の「第6区」〔別表第5より〕の欄)

 

 

C住居費の額

83.5

(「別表第6」の「東京都」の「第1区から第4区まで」の「2人以上7人未満」の欄)

 

 

勤労必要経費の額

55.5

(「別表第7」の「第1区及び第2区」の「250万円以上」の欄)

 

 

 

 (小計256.0

 

 

E妻の個人別生活費の額

49.9

 

 

F子の個人別生活費の額

34.1

 

 

G1年分の費用

(合計340.0

 

 

 

(説明)

 「1年分の費用」は、@個人別生活費の額、A世帯別生活費の額、B冬季特別生活費の額、C住居費の額、D勤労必要経費の額、の合計である(政令要綱案「第1 最低生活費の額」)。

 

@    人別生活費(政令要綱案「第2」。各自の合計案)

    東京23区(特別区)に居住=「別表第1」の「第1区」の欄

    A33歳=「別表第2の1」の「20歳以上40歳未満」の欄=49.9万円

    29歳=「別表第2の1」の「20歳以上40歳未満」の欄=49.9万円(E)

    4歳=「別表第2の1」の「3歳以上5歳未満」の欄=34.1万円(F)

(なお、上記年齢は、再生計画案提出以後の最初の41日における年齢である[申立時の記載年齢と異なることがあるので要注意]。政令要綱案「第2」の「2」) 

A    世帯別生活費(政令要綱案「第3」)

    東京23区に家族3人が同居=「別表第3」の「3人」の欄=64.7万円

(なお、仮に、Aが東京23区に居住し、被扶養者である妻子が東京都羽村市に居住しているとすると、〔A=「別表第1」の「第1区」→「別表第3の1」の「1人」の欄=52.7万円〕+〔妻子=「別表第1」の「第3区」→「別表第3の3」の「2人」の欄=53.1万円〕=合計105.8万円となる)

B    冬季特別生活費(政令要綱案「第4」)

    東京23区に家族3人が同居=「別表第4の1」の「3人」の「第6区」(「別表第5」より)の欄=2.4万円

(なお、妻子が上記のように別居しているとすると、〔A=「別表第1」の「第1区」→「別表第4の1」の「1人」の「第6区」の欄=1.6万円〕+〔妻子=「別表第1」の「第3区」→「別表第43」の「2人」の「第6区」の欄=1.8万円〕=合計3.4万円となる)

C    住居費(政令要綱案「第5」)

    東京23区の賃貸マンション(月額賃料10万円)に同居=「別表第6」の「東京都」の「第1区から第4区まで」の「2人以上7人未満」の欄=83.5万円

(なお、

(@) 一般弁済期間中の借賃の支払見込額総額を1年間に換算した額が上記金額に満たない場合はその換算額(上記金額を超えていても上記金額)・・・・・政令要綱案「第5」の「2」の「二」

(A) 使用貸借の場合は住居費の控除なし・・・・・同「一」

(B) 建物を所有し、住宅資金借入債務に係る一般弁済期間中の弁済見込総額を1年間に換算した額が上記金額に満たない場合はその換算額(上記金額を超えていても上記金額)・・・・・同「四」

(C) 建物を所有し、住宅資金借入債務がない場合は(固定資産税を支払っていても)住居費の控除なし・・・・・同「三」

(D) 被扶養者が別居中のときは、別々に算出して合計したものを控除できる。

D    勤労必要経費(政令要綱案「第6」)

    Aがサラリーマンで手取り年収350万円(税込み年収では400万円程度か)=「別表第7」の「第1区及び第2区」の「250万円以上」の欄=55.5万円

(なお、再生債務者の収入が勤労に基づいて得たものである場合以外は控除されない)

以上の結果、Aさんの「1年分の費用」は@〜Fまでの合計340万円となる。

なお、妻がパートとして働いており手取り年収が50万円あったとしても、(税込み年収103万円以下であり被扶養者なので)1年分の費用から控除されないと考えられる。

 

2. Aさんの計画弁済総額の最低額

(1)  Aさんの計画弁済総額の最低額は、基準債権(無異議債権と評価済債権)の5分の1100万円のいずれか多い額(法24125号、23123号)か、さらに手取り年収(2年分の税込み年収から所得税等を控除したものを2で割ったもので、確定申告所の写し、源泉税徴収票の写し、課税証明書写し〔所得税額は記載されていないが、総収入、保険料等が記載されているので、所得税等の計算がほぼ可能と思われる〕によって証明できる)から「1年分の費用」を控除した可処分所得の2年分と比較していずれか多い額である(法24127号)。

(2)  Aさんの手取り年収を350万円とすると、弁済すべき可処分所得は、(350万円−340万円)×2=20万円となる。

(3)  Aさんの基準債権が仮に630万円であるとする(例えば、申立段階の債権者一覧表記載金額が合計700万円とした場合に、異議なく確定した債権〔無異議債権〕、一部は債権調査の結果異議の申述をしたが評価の申立てがなされなかった額〔債権として無視される〕と評価の申立てがなされて裁判所によって評価された額〔評価済債権〕とに分かれ、結局630万円になったとする)。

(4)  そうすると、その基準債権の5分の1は126万円となる。

(5)  126万円>100万円>20万円から、Aさんの計画弁済総額の最低額は126万円(弁済期間3年とすると月約3.5万円)となる。


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